問題詳情

メイクの勘所は、舞台と客席の距離によって変化する。演劇の学校で教えていると、発表会のときなど生徒は時にオーバーなメイクをやりたがる。私が「客席が近いのだから、もう少し控えめに」といっても、 76 聞こうとしない学生がいる。理由は(77)役に「化けたい」のである。自分以外のものになりたいのである。精神分析の世界で、ドラマ療法というのがある。役を演じることで、少しずつ心を開放していく療法である。自分以外の人間になることで、自分という(78)呪縛から解放される。私たちは自分という呪縛から逃れられれば、かなり大胆になれる。役者にとって、メイクは自分以外のものになるのに重要な手段なのである。だから、経験の浅い演劇学校の学生には、ある意味で「濃いメイク」は有効である。大胆になるために、自信をつけるために、メイクは有効といえる。数年前、若い女性という特殊メイクが流行った。ガン黒のメイクをする女性は一般的には、あまり美しくない女性が多いといわれた。美人ならば、化粧品メーカーのモデルがやるようなメイクが似合うのである。 79 、美人でない人が、お手本のようなメイクをすると、かえって不自然になってしまう。ところが、ガン黒という、逆を行くようなメイクなら、やりすぎでもおかしくない。私は面白い現象だと思った。目鼻立ちのよくない女性が、ガン黒で自信を持って町に出ている。そうやって、自信を持つ方法もあるのだな、と。竹内一郎(2005)『人は見た目が 9 割』新潮社より
76 にはどの語が入るか。
(A)果たして
(B)思い切って
(C)必ずしも
(D)なかなか

參考答案

答案:D
難度:困難0.321429
統計:A(5),B(6),C(8),D(9),E(0)

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